家庭用エスプレッソマシン エスプレッソの入れかた編/#84
こんにちは。イラストレーターの茶谷順子です。このブログは、コーヒーのことを気軽に楽しむヒントを知ってほしいと思い、イラストを交えて書いています。
今回は家庭用のエスプレッソマシンの使い方。エスプレッソの入れ方について書いてみます。
前回は使い始める前の準備や、用意するものについて解説しました。今回は、いよいよマシンを扱っていきます。ここでは既に、準備が整っている前提で話を進めます。
すなわち背面のタンクにお水を入れてあり、電源も入っていて余熱ボタンもONになっている。またエスプレッソ用の粉も新鮮な冷えた牛乳も十分に用意してあるという状態です。まだの方は、前回のを読んで不足物のないようにして始めることをお勧めします♪
ではでは、始まり〜。
まずは、エスプレッソ抽出の説明から。
エスプレッソは、細かく引いた粉に高い圧力をかけて、一気にお湯を注ぎ、短時間で抽出する入れ方です。圧力をかけるためには圧が逃げないよう、なるべく空気が入らない状態を作って抽出することが重要です。
このイメージを忘れずに、以下の手順で入れてみてください。
エスプレッソの抽出 出来高 2ショット(約60cc)
1.適温ランプが点灯していることを確認。
2.ポーターフィルターに粉(14g)を詰める。
※タンパーでギュッと粉の表面を押さえる。握るタイプのタンパーの場合は、掌全体で水平に押さえ込むように圧をかけて、粉の表面が平らで、ポーターフィルターを少し揺らしても粉が動かないような硬さにします。
※粉の表面が平らでないと抽出した時に左右からの抽出量が変わります。また、全ての面に均等にお湯が行き渡らないので、味が乱れる原因になります。
3.本体が揺れないように、熱くない部分に手を添え、ポーターフィルターをセットする。
本体に水平に入れないとうまくセットできません。最初の頃は水平なつもりでも斜めになっている場合が多く、焦ってしまいますが、丁寧にスライドさせて入れましょう。
4.ショットグラスを抽出口の下に置く。
大体でいいので、30ccがどのくらいの量なのか事前に把握しておきましょう。
5.抽出ボタンを押す。
→圧力がかかり始め、ブイーーンというモーター音がしながら、数秒後に抽出が始まります。抽出口から茶色い液体とベージュのクレマ(泡っぽいもの)が混ざり合いながら出てきます。
6.ショットグラス30ccの辺りまできたら、ストップボタンを押す。
家庭用マシンは抽出も終了も手動です。自動では止まらないので、うっかり見続けないようにしましょう!
ショットグラスは2つ置いているので、合計60ccのエスプレッソが完成しました〜!
7.抽出が済んだら、ドリンク完成後で良いので後片付け。
ポーターフィルターを外して、粉を捨てる。フィルターは水で濯いで小さな粉も取り除きます。縁などに粉が残っていると、グループヘッド(本体)にはめた時に密着できないので、抽出時お湯が漏れてしまいます。
8.グループヘッド側も、掃除をする。
使用終了の際はお湯通しをし、熱くない状態で、硬く絞った布巾で水拭きしてあげましょう。そこにも粉がついているので、お掃除です。
ここまでのお時間、おおよそ、1分です!
以上がエスプレッソの入れ方で、1〜6までの時間はおおよそ1分です。中でも、5-6までの抽出時間の目安は18〜23秒です。(諸説あり)
まだ慣れない頃は1杯30ccを入れた時、どのくらいまで抽出されたかをチェックすると良いですね。
30秒すぎても30ccに満たない時もありますし、圧力のかかり方が不十分な場合は、もっと短い時間で抽出が済んでしまいます。
時間が全てではないですが、慣れるまではおいしく入ったかどうかの基準として意識してみてください。
理想的なエスプレッソはどんなもの?抽出時の状態はどんな感じ?
※回数を重ねると、粉の状態によってタンピングの強さも、簡単に合わせられるようになります。
今回紹介している、半自動エスプレッソマシンの難しさは、抽出にコツがいることです。それが醍醐味でもありますが、最初は少し落ち込んだり、面倒だからやめよ。と思ってしまうかもしれません。
そうならないように、美味しいエスプレッソが落せている目安は、どんなものかも書いておきますね。イラストのような感じの見た目が理想です。上記、『5の抽出時』、蜂蜜を垂らすようなスピードで、途切れない程度の細い液が抽出されます。
甘くて香ばしい香りがして、抽出液の色は濃い茶色や赤茶色が、おり混ざりながら出てきます。グラスに注がれると上から順に琥珀色のクレマ、明るい茶色、濃いめの茶色の順に3層に分かれます。
大体、18-23秒で60cc抽出されるので、目安にしてみてください。
抽出がすむと10秒もしないうちに焦げ茶色一色になってしまいますので、抽出時に目を離さないようにしましょう。
うまくいかないと、こんなことがおきます。
続いて、逆に失敗だなこりゃ。という見た目2例と、原因もご紹介しておきます。抽出時の判断材料にしてみてください。
【見た目】抽出開始後、真っ直ぐに抽出されず、ダバダバの薄い液体が勢いよくハの字状に抽出される。(イラスト左)
・原因→粉が粗すぎた。タンピングが弱すぎて、圧力不足の状態で抽出された。
・味は→薄い。抽出不足のためコーヒーの味はほとんどしない。
・対策→タンピングをもっと強めにする。それでもダメなら、粉の引き具合をもう少し細かくする。
【見た目】抽出量が点滴のように少ない。圧力がかかりすぎ、ポーターフィルターが本体から外れて落っこちてくる。(イラスト右)
抽出途中でもフィルターごと外れてしまいショットグラスの上にがシャン!となる場合もあります。この場合、グラスが割れていないか、火傷をしてないか気をつけながら、まずは抽出ボタンをストップさせます。
・原因→粉が細かすぎた。粉を押し込むときに力を入れすぎた。あまりにも密になりすぎて、お湯が行き場を失ったために起きてしまいます。
・味は→雑味が多く、渋かったり、やたら苦くて濃く、後味も悪い。
・対策→タンピングをもう少し軽めにする。それでもダメなら粉の引きぐあいをもう少し粗くする。
以上、おわかりいただけましたでしょうか?小さなポーターフィルターにいかに理想的なタンピングを施せるかがポイントです。最初はうまくいかない方が普通なので、粉を多めに用意して、練習を重ねることがオススメです。粉がもったいないのですが、その分美味しいエスプレッソや、生産者の方への感謝も深まります。
失敗も楽しみながら、美味しい一杯を入れてみてくださいね。美味しく入ったエスプレッソは本当に最高に幸せな気持ちにさせてくれます。
そのあとは、お好きに楽しみましょう。
そして美味しく入ったら、速やかにデミタスカップに移してエスプレッソを一気に飲み干す。エスプレッソにたっぷりのブラウンシュガーをかけて甘さと香りを楽しむ。たっぷりのミルクでカフェラテやカプチーノにする。アイスクリームにかけてアフォガードにしてシャリシャリを楽しむ。ティラミス作りをする。などなどお好きな楽しみ方で堪能してください。
カップをあらかじめ温めておくことは忘れずに。
というわけで、今回はエスプレッソの入れ方を解説しました。
機械の使い方と、タンピングの強さの感覚を掴むことが美味しいエスプレッソを入れるポイントですね。
繰り返しになりますが、1回ではなかなかスムーズにはいかないので、徐々に上手くなっていくのも楽しみながら使い続けるのが良いと思いますよ〜。車の運転やお料理みたいに。
次回は、スチームの方法について解説しますね。お読みいただき、ありがとうございました!次回もお楽しみに〜!
この記事は、茶谷順子の2020/5/1のブログを本人が加筆修正したものです。